日本技術センター設計請負部門の最前線
高砂事業所は主に、大手重工企業のタービン設計に従事しています。
立地もクライアント企業にほど近く、文字通り寄り添う形で設計・製図業務を請け負っています。
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Aさん年 齢 :20歳
経 歴 :高校卒業後、新卒入社
勤続年数:3年目 -
Bさん年 齢 :28歳
経 歴 :水泳のインストラクターから
転職、中途採用
勤続年数:4年目 -
Cさん年 齢 :27歳
経 歴 :高校卒業後、新卒入社
勤続年数:8年目 -
Dさん年 齢 :30代
経 歴 :前の仕事から転職、
中途採用
勤続年数:10年目 -
Eさん年 齢 :35歳
経 歴 :アパレル業界の仕事から転職、
中途採用で派遣から社員に
勤続年数:8年目 -
Fさん年 齢 :43歳
経 歴 :車の整備士から転職、
中途採用
勤続年数:15年目
Q1 皆さんの普段の仕事内容を教えてください。
- Fさん
- ここに集まったみんなは、ユニット・プロジェクトはバラバラです。
基本的にはタービンに関連する設計だから、本体と翼といった近しい部門のユニットに就くことも多いけど。
私は管理職という立場で、メインは蒸気タービンの本体静止部を見ています。 - 鋳物や板金のケーシング、回転する部品を支えるベアリングボックスなど、比較的柔軟に改造できる部品部分が多いので、
チャレンジして設計できる部門です。
タービン内蔵物ほど数値管理、寸法管理、形状管理が厳しくない、何か起きてもリカバリーできやすい部品を担当しています。
最近は設計より製図が多くなってるかな。図面を描く以外にも、お客さまからは資料作成の要望もあったり。
- Eさん
- 高砂事業所では主に設計と製図の2種類の業務があります。
製図は、自分の意思は入らない、基本的に指示された図面を描く業務ですね。
図面というものは、当たり前ですけど、モノを製造するときに必要で、第三者になにかをつくってもらうための情報です。
製図は例えるなら、プラモデルの説明書を描く仕事です。 - 設計は、もう一つ高次元の業務で、いわゆるデザインってやつになります。
対象の全体像はもちろん、板の厚みや曲面のRの分母を調整するなど、構造物の形状を決めるのは設計者の領域です。
職場や人によってデザインや設計の定義はバラバラかもしれないけど、ここではそういう捉え方してるかな?
- Fさん
- そうだね。
設計はプラモデルで例えると、説明書という読み物を作るんじゃなくて、
プラモデルそのものとそれを組み立てる順序を決める仕事かな。
- Eさん
- だからこそ、請負としてお客さまと何度も打合せをして内容を詰めていく。提案に付加価値を付けられる仕事です。
先方の要望に沿いながらも、より良いアイデアがあればドンドン盛り込んでいける。
デザインっていうと一般消費者が生活で触れるような家電や車とか、グラフィックをイメージしがちだけど、
工業の世界にもちゃんとデザインというものはあります。
ただ、重工業分野のタービンは一般消費者の目に触れるものじゃないから、見た目よりも機能重視ではあります。
- Aさん
- 僕は、今はプロジェクトの工程表をエクセルでまとめる業務をしています。
CADで図面を描くのも楽しいですけど、こういう仕事も現場に行って声を聞けるのが楽しいです。
現場の人とのやりとりでは、専門用語が出てくると、どうしてもわからないこともあって、そういうときは一旦持ち帰って調べたりします。
- Bさん
- 具体的な概要が掴みにくくて、質問の仕方がわからないこともありますね。
- 僕も今の仕事は、お客さまのところに行って、エクセルを使って行なう品質管理が主な業務です。
構造を決める前段階の、例えばタービン翼の冷やし方についてなら、実際に空気を流して検討したりしています。
メーカーさんの元へお客さま同伴で行ったりすることも。普通の会社でいう営業的なポジションかもしれません。
元々の希望はCADとか3DCGで、本来やりたかったこととはちょっと違うけどやりがいはあります。
- Dさん
- 私も入社当初は希望していた図面を書く仕事ではなかったので、上司に異動願いを出して
別クライアントの部署に移らせてもらいました。
そこでは船とか潜水艦、世界有数の大型旅客機の仕事にも関われて。楽しかったなあ。
ーーーお客さんのところに行っての業務は、特有の苦労がありますか?
- Bさん
- 日技に入ってすぐに今の業務に配属されたので、慣れてるというか、他と比べての苦労や違いはわかりません。
- Eさん
- 戻って来たときにその大変さに気づくかも。
- Bさん
- 違いといえば、元が水泳のインストラクターだから、そもそも別世界なんですべてが違いますけどね。
- 一同
- (笑)
- Fさん
- それでも何かしら結びつくものはあると思うよ。
業界は全く違うけど、前職での仕事の携わり方や知識・考え方から、ちょっと違う視点で見る・置き換えることが
役立つことも多い。
- Eさん
- 接客業だったので、コミュニケーションの取り方はかなり役立ってると思います。
設計だからといって、ひとりでやるもんじゃない。
必ず依頼主であるお客さまがいて、その仕事に一緒に携わる仲間がいて。
ーーーひとりで黙々と作業ができるからと、この職種を選ぶ新入社員がいますが……。
- Eさん
- それは絶対にちがいます。コミュニケーション能力は必要。
- Bさん
- 打ち合わせ中に、説明や提案がきちんとできる雰囲気作りとかね。
- Eさん
- そうそう。相手の空気と性格を見極めて、それに合わせる。
- Cさん
- ソフトやツールを使いこなすのは当然必要なことですけど、質問の仕方に気を使うことや、伝える力の方が重要。
この部品は何のために作られてどんな使い方をされるか、教えるのも覚えるのも大変なので。
- Fさん
- 普段会話が苦手なひとでも、自分の得意領域に入ると途端に饒舌になるひとはけっこう多いかもしれません。
ーーー他の方はどんな仕事に携わってますか?
- Dさん
- 私は蒸気タービンの回転部分の翼をつくっています。
機構設計の興味や希望を伝えた上で、翼に特化せず、翼まわりの機械要素がある部分も担当させてもらっています。
あとは試験装置とかタービン以外も。
ーーー幅広いですね。
- Dさん
- 特殊なケースでいえば、自分たちが携わってる業務内容をお客さまの中でできる方がおらず、レクチャーすることも。
「請け負い」って言葉の通り、お客さまの設計業務を丸ごとスッポリ任されてる場合があります。
- Cさん
- 私はガスタービンの本体に関係する仕事をしてます。
圧縮機の空気を圧縮する翼についてお客さんが作った計画図をもとに図面を描いてます。比較的同じような図面を3Dで。
ーーーCADは、2Dと3D、どっちが好きとかありますか?
- Cさん
- 私は断然3Dが好き。立体的で、つくった達成感を感じられるから。
- Fさん
- 2Dは、裏の隠れた部分は、頭で想像するしかないからね。
- Eさん
- 奥行き方向とか、頭の中で考えるしかなかったですもんね。
昔のひとはすごかった。2D図面で3Dの想像ができて。
三次元ばかりだと、図面を見る能力が落ちてきてると言われる一方、3Dモデルのおかげで図面なしにものが作れるので
メリットは大いにあります。 時代の流れとともに3Dもだいぶ増えてきています。
- Cさん
- 2Dでも簡単な形状なら想像はつきやすいんですけど、形状が把握しにくいものは厳しいですね。
寸法がむちゃくちゃ細かく決められてるから、外形から絶対想像できない断面図を3DCADなら描けたりできるし……。
一気に指示できるものが作れるのが魅力です。
- Eさん
- 二次元のものを三次元におこす業務もあります。
Q2 今の仕事の魅力、やりがいはなんですか?
- Aさん
- 実際に現場に出て得られる知識がたくさんあるのが魅力だし、やりがいです。
そのためにも、前もって現場の内容を知っておくことが大事です。
ーーー今後入社する後輩に仕事を引き継ぐとしたら、どういうアドバイスをしますか?
- Aさん
- 当たり前のことですが、必要な資料をきちんと揃えておくように言います。
- Cさん
- やりがいでいうと、3Dの図面が出来上がってくる達成感はあります。
でも実際にできあがったものを見ることが実はあまりないんですよね。現場に直接関われない場合もあるので。
けど、その完成像をイメージして、大きいプロジェクトに携われていることを実感できるのは魅力的。感動ですよ。
- Fさん
- みんながどうかはわからないのですが、僕の経験でいうと、整備士をしてたので、
機能が変わり、サイズアップしたものと思い描いています。
全く予備知識のないひとへ図面の説明をする場合、本人の大きさや重さを比較対象として置き換えて話します。
大きなモノのサイズ感を伝えるのはなかなか難しいので、自分の知っているものに置き換えると説明しやすいし
納得してもらいやすいです。
ーーー設計の仕事でチームワークが必要となる場面ってどういった時でしょうか?
- Fさん
- 業務の難易度が高い時、タイトで納期が厳しいときだね。
できることとできないこととを見極めた上で、一旦 全体の業務を土俵にあげて、優先順位を決めるようにしています。
その際、横のつながりを重要視。縦の立場から降りた方がチームワークは発揮しやすいです。
ーーーそうすると逆にチームがまとまらなくない?
- Fさん
- もちろんイニシアチブは守ります。
その上で、やりたいこと、やれることを全員が話せるように。
ーーー入社して年数が浅い方は、話し合いの際に気を使ったりしますか?
- Aさん
- 実は少し……。
年齢も若いし、経験も少ないので……。
- Fさん
- 意見はその場で伝えにくければ、後でこそっと伝えてくれればいいよ。
ただ、分からないことは必ずその場で。それがチーム全体の貴重な気づきになるかもしれないからね。
- Dさん
- うん。そういうときは周りへの遠慮はあんまり必要ないよ。お互いプラスにならないし。
経験が豊富な人も、新鮮な意見やギャップで新たな気づきになる場合もあるので。
Q3 印象深かった出来事は?
- Dさん
- いちばん嬉しかったのは、とあるクライアントの案件で最初は単独で赴任していたんだけど、
もうひとり当社から人員を呼ぼうと言われたとき。
はじめは全部ひとりでこなさないといけなかったから大変だったけど、自分自身すごく成長させてもらえたし、
私だけじゃなくて会社として評価していただけたのは本当にうれしかった。
評価基準をはっきりと知ることはできないけど、日々の業務の積み重ねと、提案・質問が良かったと言われた。
ときには自分の意見を話すのも大事ですよ。それで先方の不安を取り除くことができるかもしれない。
- Bさん
- 僕も、2年契約予定の案件を1年延長いただいたときは嬉しかったです。間接的な評価かなと。
- Eさん
- 僕は一旦終了したクライアントから再び依頼があったとき。
いてもらわないと仕事が成り立たないと言っていただけたのは今でも覚えてます。
- Cさん
- すいません、悪い方の印象深かった出来事なんですけど、対応したものが間違ったまま製造されて、
大きな損害を出してしまったこと。
お客さんにはもちろん謝りに行ったけど、それで済む問題ではない相当な失敗だったので、当時はだいぶ落ち込みました。
設計してからモノが出来上がるのが半年後ということもあって、けっこう長引きました。
ーーーどうやって乗り切りました?
- Cさん
- それでも上司が支えてくれたので、なんとか。
- Fさん
- 失敗もするべき。怖さを覚える。
怖さを知れば、慎重さをデザインに反映することができるからね。
本当にこのパーツはこの位置でいいのか? と思えるようになる。
そういう領域に考えが及ぶようになったら、設計者として一人前になってきた証です。
- Cさん
- 今となっては、望んでもできない貴重な体験ができたと思うようにしています。
吹っ切るために、ひたすら目の前の仕事に打ち込んで。
あたたかい上司のフォローもあって、コツコツ頑張ろうと心を入れ替えられたので今でも続けられています。
あとは時間が解決。
- 一同
- (納得)
ーーー皆さん、ありがとうございました。